日本の企業文化において、プロセスマネジメントがしばしば軽視されるという問題が存在します。多くの企業がプロセスオフィスやプロセスマネージャーといった専門的な役割を組織内に設けず、重要な業務プロセスの統制を現場に委ねることが一般的です。この結果、組織全体での統一されたプロセス改善が困難となり、非効率な改善活動に留まることが多いのが現状です。
私は2019年よりCelonisにおいて、Process Miningの啓蒙、提案活動を行っておりますが、日本企業にはプロセスマネジメントをガバナンスするプロセスオフィスや管掌役員が設置されていないことが多いため、クライアント企業で旗振り役となって頂ける方を探すのに苦慮するという事態を目の当たりにしてきました。こうした課題意識から2023年にヒューストンのAPQC(米国生産性品質センター)においてプロセスマネジメントに特化した研修を受講し、Process Manager認定資格を日本人として初めて取得しました。
研修で紹介されたフレームワークや理論、事例は目から鱗であり、欧米企業におけるプロセスに対する管理意識の高さを改めて思い知りました。例えば、日本企業ではプロセスの変更は現場での工夫として推奨される場合が多いですが、欧米企業においては現場で勝手に変更できうるものではなく、プロセスオフィス、プロセスマネージャーといった役割の方が、経営方針やリソースプラン、各種規程との整合性をレビューしたうえで、承認を行うといったガバナンスとして管理されていたりします。日本企業において、昨今、「現場の暴走」による不祥事がニュースを賑わせていますが、仕組みとしてプロセスを管理するため、現場の暴走も生じにくい組織設計・プロセス設計となっていると言えます。
ここで改めてプロセスオフィス・プロセスマネージャーの役割を整理しましょう。
プロセスオフィス(プロセスエクセレンスオフィス等)は、組織全体のプロセス改善活動を統括する部署であり、プロセス改善プロジェクトの優先順位付け、リソースの割り当て、成果の測定、改善プロジェクトの全体監督を行います。この役割は、組織の戦略的目標と直接連携し、長期的な改善と効率化を推進します。
一方で、プロセスマネージャーは、特定のプロセスまたは一連のプロセスを直接管理し、日々の運用、問題の特定、解決策の実施、プロセスパフォーマンスの監視を行う個人です。彼らはプロセスが組織の基準や要求に合致していることを確保し、必要に応じてプロセス改善の提案を行うこともあります。
この二つの役割が組織内で明確に設定されていないことは、日本企業におけるプロセス改善の取り組みを断片化させ、組織全体としての効率と効果の向上が困難になる原因となっています。解決策としては、プロセスオフィスとプロセスマネージャーのような専門的な役割を組織内に設けることが効果的です。これにより、組織全体で一貫したプロセス改善の推進が可能となり、持続可能な改善と効率的な運用が実現されることが期待されます。
日本企業がグローバル市場で競争力を持続させるためには、このようなプロセスマネジメントの強化が必要不可欠です。今後、各企業がどのようにこれらの課題に取り組むかが、その成長戦略と密接に関連してくるでしょう。
プロセスオフィスに求められるケーパビリティ・機能についてはこちらの記事にてまとめています。併せてご覧ください。

