APQC Process Manager研修の体験談

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2023年9月19日から21日に米国ヒューストンに本拠を構えるAPQC(American Productivity Quality Center:米国生産品質センター)にて、同団体の認定資格であるCertified Process Managerを日本人で初めて取得することができました。本記事では研修の様子や所感などをご紹介したいと思います。

APQCは、ニクソン大統領政権においてPrice CommissionのメンバーであったJack Grayson氏が、企業における業務プロセスの効率化による生産性改善、品質向上に寄与する研究活動を行うことを目的として1977年に設立した非営利団体です。物価高が社会問題となっていた当時の米国において、企業側でのコスト削減の取り組みを研究、促進するという社会的要請を受け創設され、以来、プロセスマネジメントやナレッジマネジメントの領域において1000以上の加盟企業・団体にフレームワーク、ベンチマーキング、調査報告、研修などの各種サービスを提供しています。

APQCが提供している研修の中で、今回はプロセスマネージャー認定コースに参加しました。私個人の動機としては、プロセスマネジメントに関する総合的なフレームワークやアプローチを改めて学びたかった点や、グローバル企業でプロセスを管理、運用しているエキスパートとの意見交換、そして何よりもプロセスマネジメントの世界有数のリサーチセンターであるAPQC本部を一度訪れてみたかったという点でした。

研修は3日間に渡りAPQCフレームワークの理解とケーススタディー、チームプレゼンを繰り返すというもので、理論と実践のバランスが取れた構成でした。講師を務められたのはコンサルティング業界での経験の長いDewey Dorsettさん、Mardi Krenekさんでしたが、丁寧な解説とオープンに議論できる雰囲気のなか楽しく臨むことができました。また受講生も金融、流通、航空、軍事、テクノロジーなど各業界の企業・団体から参加した16人のプロセスマネジメントに関するエキスパート達で、日々の業務での課題、苦労話なども紹介し合いながら、意欲的に参加していたのが印象的でした。

余談ですが、APQC本部の周囲は緑豊かな森林に囲まれ、綺麗な宿泊施設も隣接したたいそう閑静なエリアでしたが、こうした場所が本部・研修施設として選ばれたのは日常業務を離れ、落ち着いてディスカッションできる環境を用意したいという創業者Jack Grayson氏の意向によるものだそうです。

APQCが提唱するフレームワークでは、プロセスをライフサイクルとしてとらえ、初期の構想設計からデザイン、導入、サポートといった各フェーズと考慮すべきポイント、そして戦略とのアライン、ガバナンス、テクノロジーなど成功の鍵となる仕掛け、As Is/To Beにおけるステップや成熟モデルなど、プロセス管理に必須となる要素が網羅され、Process Classification Framework(PCF)として有名なプロセスフレームワークのひな型やベンチマーキング指標などとともに、演繹法的なアプローチで各業務に落とし込んでいくというのが特徴的と感じました。この点、部門、現場での業務ニーズを組み上げてプロセスを構成していくカイゼン型の日本的なアプローチとは異なる点と思います。

米系企業と日系企業との違いといえば、参加者とのディスカッションやワークショップを通し、米系企業はやはりAt Willによる労使関係が前提となるため、業務プロセスと職務定義書の紐付けが明確に定義づけられており、担当者の雇用と直結するプロセス変更にあたっては、ガバナンスを保ちながら経営の意思決定として実施すべきものという考えが根強いように感じました。そのためプロセスを管理するBPMS(ビジネスプロセス・マネジメント・システム)は業務を管理するためのコアなアプリケーションとして普及しており、業務の変更履歴や変更時の理由、承認者などもトレースできるようにしておくのが一般的なようです。

また、APQCではKnowledge Managementの研究発表、研修提供も積極的に行っており、Process ManagementとともにKnowledge Managementの取り組みを両輪で推進する企業が増えているといった話も講師の方からお聞きしました。Insightという単語は「洞察」と訳されることが多いですが、Processのデジタル化が急速に進む今日において、「洞察」をKnowledgeとして整備し業務変革、業務改善に吸収していくことも急務と言われていますが、Generative AIの普及に伴い、AIに「洞察」をいかに理解させるかがDXの効果を最大化するための鍵となると改めて実感しました。

3日間という短い期間ではありましたが、ヒューストンの緑豊かな環境でProcess Excellenceの殿堂ともいえるAPQCでプロフェッショナル達と多くのことを学ぶことができ、とても有意義で印象深い時間を過ごすことができました。

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