業務プロセスにおける逸脱(Deviation)とは正規の業務プロセスや規程から逸れた業務処理を指します。業務プロセスにおける逸脱は業務に応じいくつかのパターンに分類され、これらの視点による分析を通し、逸脱の状況を把握・整理することが可能です。
購買プロセス
購買プロセスにおけるDeviation(逸脱)は、通常の手続きや基準からの逸脱を指し、様々な形で発生することがあります。以下は購買における典型的なDeviationの種類です:
- 価格逸脱:
- 承認された予算や基準価格を超える購入。
- 数量逸脱:
- 承認された数量を超える、またはそれ以下の購入。
- 品質逸脱:
- 承認された品質基準や仕様と異なる製品やサービスの購入。
- サプライヤー逸脱:
- 承認されたサプライヤーリストにない業者からの購入。
- 納期逸脱:
- 承認された納期を守れない場合の購入。
- 契約条項の逸脱:
- 既存の契約条項に反する条件での購入。
- 調達手続きの逸脱:
- 標準的な調達プロセスや手続きからの逸脱。
- 承認権限の逸脱:
- 承認権限を持たない者が購買決定を行う場合。
- 法規制の逸脱:
- 法的要件やコンプライアンス基準からの逸脱。
これらの逸脱は、コスト増加、品質の問題、供給遅延、法的リスクなど様々な問題を引き起こす可能性があります。したがって、Deviationは適切に管理され、必要に応じて正当化されるべきです。多くの組織では、逸脱が必要な場合には特定のプロセスに従って承認を得ることが求められます。逸脱の管理は、購買プロセスの効率性とコントロールを維持するために重要な要素です。
BtoB(企業間取引)の受注業務
BtoB(企業間取引)の受注業務において、逸脱は様々な形で発生することがあります。これらの逸脱は、契約条件、顧客の要求、社内のポリシーや手続きに対して発生する可能性があり、以下のような種類が考えられます:
- 価格逸脱:
- 契約やリスト価格からの価格設定の逸脱。
- 納期逸脱:
- 顧客の要求による納期の短縮や、予定されていた納期の遅延。
- 数量逸脱:
- 契約または標準的な注文数量からの逸脱。
- 仕様逸脱:
- 顧客による特定の製品仕様の変更要求。
- 契約条件の逸脱:
- 支払い条件、保証条件、返品ポリシーなど、標準的な契約条件からの逸脱。
- サプライチェーン逸脱:
- 標準的な供給チェーンプロセスやサプライヤーからの逸脱。
- 法規制の逸脱:
- 法的な要件や業界標準からの逸脱。
- サービスレベルの逸脱:
- 提供されるサービスレベルやサポート条件の変更。
- 承認権限の逸脱:
- 承認権限を超えての取引決定や契約の締結。
- 顧客セグメンテーションの逸脱:
- 標準的な顧客セグメントやターゲット市場からの逸脱。
これらの逸脱は、企業のリスクを増加させたり、利益に影響を与えたりする可能性があります。したがって、BtoBの受注業務においては、逸脱を適切に管理し、必要に応じて内部プロセスを通じて承認を得ることが重要です。また、逸脱の原因を分析し、将来の発生を防止するための改善策を講じることも大切です。
BtoC(企業対消費者)の受注業務
BtoC(企業対消費者)の受注業務において発生する逸脱は、企業間取引(BtoB)とは異なる側面があります。BtoCの場合、逸脱は主に消費者の期待と企業の提供するサービスや製品の間のギャップとして現れます。以下はBtoCの受注業務における典型的な逸脱の種類です:
- 価格逸脱:
- 広告や表示価格と実際の販売価格との差異。
- 製品仕様の逸脱:
- オンラインやカタログでの製品説明と実際の製品との差異。
- 納期逸脱:
- 顧客に約束された納期と実際の納品日との差異。
- 注文内容の逸脱:
- 顧客が注文した内容と異なる商品が届けられる場合。
- 在庫管理の逸脱:
- 在庫ありと表示されている商品が実際には在庫切れであるなどの問題。
- 顧客サービスの逸脱:
- 顧客からの問い合わせやクレーム対応が標準的なサービスレベルを下回る場合。
- 支払い・返金ポリシーの逸脱:
- 店舗やウェブサイトの規定と異なる支払いや返金の処理。
- 配送・物流の逸脱:
- 配送方法や配送時間、配送費用の約束と実際の配送サービスとの差異。
- マーケティング・広告の逸脱:
- 宣伝や広告での主張と製品・サービスの実際との相違。
これらの逸脱は、顧客満足度の低下、ブランドの信頼性の損失、さらには法的な問題を引き起こす可能性があるため、適切な管理と迅速な対応が必要です。特にBtoCの市場においては、逸脱は顧客体験に直接影響を与え、繰り返し購入や口コミによる新規顧客獲得に大きな影響を及ぼします。したがって、逸脱を最小限に抑え、顧客の期待に応えることが重要です。
営業業務
営業業務における逸脱は、企業の収益、顧客関係、およびブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。営業プロセスにおける逸脱は、以下のような形で発生することがあります:
- 目標設定の逸脱:
- 定められた販売目標やKPI(重要業績評価指標)からの逸脱。
- 価格設定の逸脱:
- 企業の定める価格ポリシーや割引規則からの逸脱。
- 製品やサービスの誤解伝達:
- 製品やサービスの機能、利点、条件などを誤って顧客に伝える。
- 不適切な顧客対応:
- 顧客とのコミュニケーションにおいて非倫理的または非プロフェッショナルな行動を取る。
- 契約違反:
- 顧客との契約条件に違反する行為。
- 不適切な顧客データの取り扱い:
- 顧客情報のプライバシーを守らない、またはデータを不適切に利用する行為。
- 販売後のサポートの欠如:
- 販売後のフォローアップや顧客サポートが不十分な場合。
- 不正行為や詐欺:
- 営業活動において不正行為や詐欺を行う。
- 競合に関する不適切な発言:
- 競合他社に関して虚偽の主張を行うなど、不正競争に該当する行為。
- 内部ポリシーや規則の逸脱:
- 会社の内部ポリシーや営業プロセスのガイドラインからの逸脱。
これらの逸脱は、顧客の信頼を損ねたり、法的な問題を引き起こしたりする可能性があります。したがって、営業チームに対する適切なトレーニング、監視、および指導が不可欠です。また、逸脱を早期に特定し、対策を講じることで、企業の評判と収益性を守ることが重要です。
経費申請
経費申請におけるDeviation(逸脱)は、企業の費用管理ポリシーや規則からの逸脱を指し、以下のような様々な形で発生します:
- 過剰な経費請求:
- 必要以上の費用や不正確な金額の請求。
- 不適切な項目の請求:
- 企業の経費ポリシーに反する項目(例えば、個人的な支出や娯楽関連費用)の請求。
- 領収書・証明書類の不備:
- 必要な領収書や証明書類を提出しない、または偽造する行為。
- 承認プロセスの逸脱:
- 承認プロセスを無視して不正な経費を申請する。
- 支払い条件の逸脱:
- 企業の支払い条件や期限に反する方法で経費を請求する。
- 予算枠の逸脱:
- 割り当てられた予算枠を超える経費の申請。
- 不正行為や詐欺:
- 偽の経費請求や詐欺的な手段を用いる行為。
- 繰り返しの違反:
- 経費ポリシーに繰り返し違反する行為。
これらの逸脱は、会社の財政に不正確な影響を与える可能性があり、内部統制の欠如を示唆することもあります。逸脱を防ぐためには、明確な経費ポリシーの設定、従業員への教育、適切な監視と承認プロセスの実施が重要です。また、逸脱が発生した場合には迅速に対処し、再発を防止するための措置を講じる必要があります。
まとめ
各業務における逸脱を分析することにより、業務プロセスのみならず組織・人が抱える構造的な課題や改善への手掛かりを発見することができます。プロセスマネージャーには常に逸脱の状況を把握し原因解消に努める必要があります。BPMSやプロセスマイニングは効果的なツールとなります。
