EPM × プロセスマイニングのシナジー~財務と非財務をつなぐデータ活用~

EPM・CPM

企業経営における大きな課題のひとつは、計画と実行の乖離をどう埋めるかです。EPM(Enterprise Performance Management)は予算やKPIを通じて「計画と管理の羅針盤」として機能しますが、現場で実際に何が起きているかを直接示すことはできません。一方、プロセスマイニングはシステムのイベントログをもとに業務の実態を可視化する「現場のGPS」です。両者を組み合わせることで、経営管理とオペレーション改善を一気通貫に結び付けるシナジーが生まれます。

活用イメージ

サプライチェーン最適化
 EPMで在庫削減を計画しても、実際には入出庫の遅延や承認の滞留が在庫過多を招くことがあります。プロセスマイニングを用いれば、倉庫間の動きや承認プロセスの遅さといったボトルネックを可視化し、EPMの計画に即した改善施策を現場に落とし込めます。

受発注プロセスの精度向上
 EPMの売上予測と、プロセスマイニングで得られる受発注処理時間を照合することで、需給計画のズレを早期に検知。欠品や過剰在庫を防ぎ、顧客満足度の向上につながります。

早期決算の実現
 EPMが掲げる「決算早期化」という目標も、実務では承認・仕訳・照合の遅延に阻まれがちです。プロセスマイニングで承認プロセスのボトルネックを pinpoint できれば、EPMが提示する経営目標と現場改善を直結させられます。

データ構成と仕組み

このシナジーを実現するには、EPMの「集約数値」と現場の「明細データ」をつなぐ仕組みが欠かせません。

EPMアウトプット:売上高、利益率、在庫回転率といった集約値。

明細データ:受発注伝票、仕訳、請求処理など、ERPや基幹システムに残るトランザクション単位の記録。

イベントログ:明細データの元となるログ情報(ID・タイムスタンプ・処理内容・属性データ)を解析し実行履歴を構造化。

プロセスマイニング分析:イベントログをもとに業務フローを再現し、EPMのKPI未達の原因を定量的に特定。

こうした流れを確立することで、トップダウンのKPI管理とボトムアップの業務分析を接続する「一本のデータライン」が完成します。

非財務情報の開示にも貢献

近年、統合報告やサステナビリティ報告では、財務だけでなく非財務情報の透明性が強く求められています。

CO₂排出量:EPMで削減目標を設定し、物流や生産のデータをイベントログ化することで、削減効果を実証可能。

人的資本:研修参加率や離職率をKPI化し、人事プロセスの実態をプロセスマイニングで把握することで、制度の有効性を高められる。

ガバナンス:承認プロセスの逸脱や例外処理をログから検出し、内部統制やコンプライアンス強化につなげる。

EPMで掲げる「目標」と、プロセスマイニングが示す「実態」を組み合わせることで、投資家やステークホルダーに説得力のある経営ストーリーを示せるのです。

まとめ

EPMは「羅針盤」、プロセスマイニングは「GPS」。羅針盤だけでは大まかな方向性しか示せず、GPSだけでは全体の目的地が見えません。両者をデータ構造で結び付けることで、財務・非財務を横断する実効性のあるマネジメントが実現できます。これこそが、EPM × プロセスマイニングの真のシナジーといえるでしょう。

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